第2回 犬のウンチ袋 防臭の仕組みから価格まで 知ってます?

第2回 犬のウンチ袋 防臭の仕組みから価格まで 知ってます?

2024年12月版

今回の内容

うんち袋は賢く選ぼう
袋のサイズとおすすめ場面
防臭だけでない ウンチ袋にはさまざまな機能がある
なんで決まる袋の価格
ウンチ袋の問題

  

【うんち袋は賢く選ぼう】 

 犬のウンチ回収に袋は不可欠です。犬用の袋だけでなく、赤ちゃん用やキッチン用、ゴミ袋なども使えますが、種類が多いことで何を選んだ良いのかわからなくなります。

 サイズや機能、価格などの少しの知識があれば、望む袋を選びやすくなります。ウンチ袋を選ぶための情報をご紹介します。

 

【袋のサイズとおすすめ場面】

1 袋のサイズとは

 ほとんどのフンキャッチャーが枠の大きさで利用できる袋の大きさが決まります。枠の直径が13㎝なら幅23㎝(9インチ)の袋が適しています。

(1)規格袋

 袋のサイズは横幅と縦幅、厚さで示されます。横幅と縦幅が決まったものが規格袋です。規格袋は号数で表され大きくなるほど袋のサイズも大きくなります。11号がB5サイズ(横20×縦30㎝)、12号がA4サイズ(23×34cm)、14号がB4サイズ(28×41cm)です。

 ネットなどで販売されている袋は海外製のものが多くインチサイズで表示されます。1インチは2.54㎝です。Amazonベーシックの袋は9×13インチ(23㎝×33㎝)で、12号の規格袋とほぼ同じです。また、用途に応じた規格袋以外のサイズの袋もあります。価格はサイズが大きいほど高くなるので、必要な大きさを経験から学ぶことが大事です。

(2)横幅

 サイズの中で袋の横幅がウンチの回収で特に重要です。この横幅もマチありとマチ無しで大きさが変わってきます。横幅20㎝の袋は、マチなしなら横幅20㎝ですが、マチ3+3㎝とあれば、実際の横幅は23㎝です。しかし、20㎝マチ3㎝と表示されることがあるので注意が必要です。

(3)縦幅

 規格袋なら横幅が決まれば、縦幅も決まります。専用袋の中には袋の口を結びやすいように縦幅を長くしたものがあります。また、防臭性をアピールする袋の中には縦幅を長くして、良くひねった結び目から臭いが外部に漏れることを防ぐ袋があります。

(4)厚さ

 袋の厚さは、薄いほど原料が少なくて済み、値段や環境にやさしくなりますが、破れやすくなり、臭いも透過しやすくなります。また、厚すぎても袋が硬くなるので、使用用途によって最適な厚さがあります。

 一般的な袋の厚さは0.005㎜以下から0.08㎜以上(5ミクロンから80ミクロン)までさまざまです。厚さ0.09㎜のOPPフィルムはプラスチックの板感が少し出てきますから、ウンチ回収用の袋の厚さには限界があります。

 数多くある犬のウンチ回収用の袋の厚さは0.02㎜~0.025㎜(20ミクロンから25ミクロン)がほとんどです。厚すぎても、ウンチを拾ったり、袋をひっくり返すことが難しくなります。薄すぎても家に持ち込んだ瞬間に臭いで非難される可能性があります。現状のウンチ回収用の袋の厚さ(0.02㎜~0.025㎜)は、ちょうどよいかもしれません。

 今は見かけませんが、とても安いウンチ回収用袋は、0.007㎜(7ミクロン)でした。厚さの単位をミクロンに変えるととなり厚い感じをかもせますが、このメーカーは清くミリでの表示でした。

さらに薄いウンチ袋もあります。中国製の袋で厚さ1.6ミクロンを誇るものがあります。ミリで表示すれば0.0016㎜です。一般的なウンチ袋(0.02㎜)の12分の1の驚異の薄さです。この薄さでありながら強靭性をアピールする驚異の技術もぶちかまします。材質は無記載で値段は高いです。大事な臭いについては不記載です。どんなレビューがつくか楽しみです。

 

2 ウンチを手で拾う場合のおすすめサイズ

 袋のサイズはウンチの量で決まります。ウンチに比べ袋が小さいとウンチがつかみにくく、袋に収める段階では、はみ出してこぼれそうになります。腕や服にこぼれたら悪夢なので、余裕がある横幅23㎝の袋をおすすめします。縦幅は人によって好みが異なると思いますが、長い方が袋の口を結びやすくなります。また、2回ウンチをされたときに、1回目の袋を使って2回目のウンチをとりやすいのは縦が長い袋です。できれば30cmは欲しいと思います。

 

3 フンキャッチャーを利用する場合のおすすめサイズ

 従来から行われている袋の固定方法では、「袋の周囲長」が「枠の周囲長」より短いと、袋が枠にはまりにくくなります。また、袋の固定に摩擦力を利用する枠は、袋が大きすぎると外れやすくなります。

 言い換えればフンキャッチャー利用者にとって、枠の大きさで利用できる袋のサイズが決まるので袋のサイズは重要です。

 袋のサイズの具体的な決め方は、枠の直径が13㎝なら円周が41㎝なので袋の横幅が21㎝(袋の周囲長は42㎝)あればすんなり取り付けられます。実際には個人の好みもあるので、横幅23㎝の袋を試してみて使いやすいサイズに修正すればいいと思います。

 同じように横幅が11.5㎝なら、円周は36㎝なので、袋の横幅は18㎝以上あれば取り付け可能ですが、余裕を見て横幅20㎝の袋を試して決めます。

 

4 トイレに流す袋のおすすめサイズ

 トイレに流せる袋は外側に水溶性の紙袋、内側にポリ袋の二重構造です。あまりサイズがなく、外側の水溶性の紙袋の横幅が2324㎝です。(小型犬用をうたうものが横幅21㎝です。)多くは商品の袋に水溶性の紙袋のサイズが記載されています。ポリ袋のサイズが紙袋より小さくても、ウンチを受けた紙袋は小さくなるので問題はありません。

 

【ウンチ袋にはさまざまな機能がある】

 袋につけ加えられた機能は、防臭、消臭、芳香、生分解性、水溶性などがあります。

 

1 防臭袋

(1)ポリエチレン、ポリプロピレンは防臭性が低い

 防臭袋は臭いが袋の外に出るのを防ぐ機能を持った袋です。袋の多くがポリオレフィン樹脂系のポリエチレンやポリプロピレンでできているためポリ袋と言います。

 100円ショップダイソーのペット用袋はポリエチレン製で柔らかく、Amazonベーシックの袋は、ポリプロピレン製でやや硬い感じがするので、厚さが少し薄く0.015mmです。これらの樹脂はガスを良く通すためにフィルムが薄いほど臭います。

 臭いを通しやすいポリオレフィン樹脂系の袋は厚さだけでは高い防臭効果は望めないため、防臭機能を付け加えることになります。ところが防臭の文字はあっても仕組みが書かれていない製品もあります。代表的な防臭の仕組みは以下のものです。

(2)金属、PVDC、EVOHは、臭いを通さない

 防臭機能の優れたものが樹脂フィルムにアルミなどの金属を蒸着させたもので、チョコレート菓子などで良く見られます。高価なため主に食品などで使われます。

 金属には負けますが樹脂フィルムのPVDCEVOHは臭いを通しにくいもので良く利用されます。

(3)防臭機能はサランラップがすごい

 PVDC(ポリ塩化ビニリデン)は、ガスや臭いを通さない特殊な樹脂フィルムです。サランラップとして良く知られています。サランラップは傷があると裂けやすいので袋には利用できません。袋に使う場合はポリエチレンなどの他の樹脂フィルムに張り合わせて使用します。

 PVDCには塩素が含まれます。このため少し前までは猛毒のダイオキシンが焼却場から発生する可能性があったので使いにくくなり、代替としてEVOHが開発されました。今は焼却場を改良してこのような問題はなくなりました。

 

(4)EVOHは湿度に弱い

 EVOHは高いガスバリア性があるのですが、湿度があるとガスバリア性が低下します。このため透湿性の低いポリエチレンなどのポリオレフィン系樹脂でサンドイッチして使用します。7層などの多層フィルムで防臭性があるならEVOHを利用している可能性が大です。

技術は日進月歩なので他にも方法があると思います。

 参考 サニパック よくあるご質問

   https://www.sanipak.jp/faq.html

 

2 消臭機能

 消臭はポリエチレンなどの袋の素材に消臭機能のある成分を混ぜて臭気を吸収するものです。消臭機能のあるものは硫酸アルミニウムカリウム(焼ミョウバン)や酸化カルシウムなどです。

 完璧な防臭袋を用いたとしても、結んだ口の部分などから悪臭が漏れる可能性があります。閉鎖空間のゴミ箱の中では少しの漏れも濃度が高まり、ゴミ箱を開けたときに悪臭を感じることになります。このようなときに袋に消臭機能があれば、漏れ出た悪臭を吸着し、ゴミ箱を開けたときに悪臭を感じなくなります。

 消臭機能は防臭機能と同じくらい重要です。袋だけでなくゴミ箱に消臭剤を取り付ける方法もあります。

 

3 芳香

 袋に香りをつけ悪臭を和らげるものです。初めてAmazonベーシックの袋を購入し、家の中で開封した時の石鹸の香りには驚きましたが、屋外ではほぼ気になりません。効果があるのかもよくわかりませんが、桜の香りなんかは体験してみたい香りです

 

4 トイレに流せる袋 水溶性紙

 トイレに流せる袋は、外側が水溶性の紙袋、内側がポリ袋の2重構造です。落ちたウンチを手で拾うことを前提とした構造で、ウンチを拾った後で袋を裏返し、ウンチを水溶性紙でくるみ、水溶性紙をポリ袋で包みます。トイレに流すのはウンチとウンチをくるんでいる水溶性紙です。

 ウンチをキャッチするときに外側の水溶性紙だけが落ちることがあるため、ポリ袋に少しだけ接着されたものがあります。接着している分トイレに流すときに引っ付いて流しにくいことがあるので、どちらが良いかは人によります。

 トイレに流せる袋は特殊な二重構造なので、従来の方法ではフンキャッチャーに取り付けることが難しく、直接キャッチは困難でした。このため、一度地面に落ちたウンチを拾うため、ウンチに土や小石、葉などの不純物が着きやすく、トイレや配管を詰まらせるリスクがありました。

 

5 袋も溶ける水溶性フィルム

 ほとんどのトイレに流せる袋は、水溶性の紙袋だけトイレに流します。しかし、最近では包んでいた袋ごと流せるという商品もあります。

 この商品は、水に溶けやすいポリビニルアルコールを使った袋です。(ポリビニルアルコールは微生物で分解される生分解性プラスチックでもあります。)

 水溶性フィルムは水に溶けるだけあって湿気に弱いので、低湿度での保管が必要になります。また、強度も弱いと言われています。使う場合も水気の多いウンチはトイレットペーパーをおいてから回収するようです。

6 分解性プラスチックフィルム

(1)微生物による生分解性プラスチック

 微小なプラスチック(ナノプラスチック)が環境を汚染し、魚や人間の体内に取り込まれることが問題になっています。対策のひとつにプラスチックを分解して炭素と水素に戻す方法があります。その中で微生物の手を借りて分解されるものを生分解性プラスチックと言います。生分解性プラスチックには、生物(バイオマス)由来だけでなく石油由来もあります。

(2)微生物不要の分解性プラスチック

 微生物で分解されないものを非生分解性プラスチックと言いい、ややこしいことにバイオマス由来のプラスチック(バイオマスプラスチック)でも微生物に分解されないものがあります。

 微生物の力は不要で、特殊な添加剤により紫外線や熱、圧力で分解を開始するプラスチックがあります。(微生物の力があれば分解が早まります。)

 このプラスチックには添加剤としてEPI(TDPA)D2Wが数パーセント使われます。そして、予定された時間が経過するとプラスチックフィルムが分解されはじめます。

 ネットで見かけるVETRESKA(ベトレスカ)の生分解性ウンチ袋は、高密度ポリエチレンにEPIが添加されています。製造から使用までに長い期間が開いてしまうと袋の分解が始まっている可能性があるかもしれません。メーカーから分解が始まる条件や期間などの情報が提供されると使いやすいのですが残念です。微生物によって分解される生分解性のプラスチックはこのような心配はほぼないと思います。

 

【なんで決まる袋の価格】

1 1年間にかかるウンチ回収の費用 2,600円から8,500円

 ウンチ袋の経費は犬を飼う上で必要なランニングコストです。

 1日2回ウンチをすると、袋は年間730枚必要です。平均価格で計算すると普通の袋なら2,600円、トイレに流せる袋で5,600円、防臭袋で8,500円です。

 エサは1000/㎏、1200gとして年間7.3万円なので、大雑把にエサの4%から10%程度です。

 

2 袋のサイズと価格の関係

 袋のサイズと価格の関係が右下の表です。このデータは防臭効果のあるBOS(クリロン株)袋の価格です。防臭効果付きなので普通の袋より値段は高めです。当然ですが大きくなるほど値段が上がります。

 

 

 

3 機能と価格の関係

 袋に加えられた機能による価格差が右下の表です。年間円は12枚年730枚使うときに必要な金額です。同じ機能でもかなり価格差がありますが、厚さと材質の影響があると思います。

 機能的には普通の袋が最も安く平均3.6円です。すべて溶ける特殊な袋が最も高かく40円でした。

 

 

 

 

 

 

 

 (1)トイレに流せる袋はイメージより高くない

 トイレに流せる袋は2重の袋なので値段が高いイメージがありましたが17.7円で、防臭袋より安く、普通の袋の2倍程度でした。水溶性とポリ袋の二重構造なので2倍は妥当かもしれません。

 

(2)防臭効果の袋は考えようによっては安い!?

 ここで集計した防臭袋の多くは7層構造の複雑な袋が多いので、111.6円と値段も高くなっています。

 防臭袋のMとトイレに流せる袋の年間の金額の差は2,847円なので、トイレを詰まらせたときの修理費用を考えると防臭袋で保管する方が安いと思います。

 さらに防臭袋に加え、ゴミ箱に消臭剤を取り付けると3,000円(250円×12か月)必要です。合計では年間5,847円トイレに流すより多く必要ですが、十分検討に値する差だと思います。

 

(3)専用袋は当然めちゃ高い

 器具専用袋は中国製のフンキャッチャーの袋です。専用品なので高価にならざるを得ないものです。この専用袋を利用すると年間17,885円必要で、普通の袋より15,000円、防臭袋と比べても9,400円高くなります。このような高い金額を支払う価値があるのか購入前に検討する必要があります。また、ECサイトの商品情報が不明確な販売会社は注意が必要です。

 

【ウンチ袋の問題】

 防臭袋と普通の袋の違いは分かりにくいものです。また、ほとんどのメーカーから十分な情報提供があるとは言えません。さらに、情報の真偽もあるので、信用や実績のあるメーカーや自分でいろいろ試すしかない残念な状況です。

 

【まとめ】

1 従来のフンキャッチャーは、枠の大きさによって適正な袋の大きさが決まる。
2 防臭効果とともに消臭効果も重要
3 防臭袋の価格は、機能を考えると高くない可能性がある。
4 器具専用袋の価格はめちゃ高く、情報が少ない
 

次回】

 第3回 こんなにある犬のウンチ回収器具と、おすすめフンキャッチャー

 

 

 

犬のフンキャッチャーに関する情報を5回シリーズでご紹介します。

  • 第1回 犬のウンチ 処分方法
  • 第2回 いろいろあるウンチ袋と選び方 <今回>
  • 第3回 犬のウンチ 回収器具の選び方とおすすめ 
  • 第4回 最新フンキャッチャーの紹介
  • 第5回 フンキャッチャーの上手な使い方 (予定)

 

【“らふーん”について、もっと知りたい方は以下のページをご覧ください。】

 (1)参考 らふーんの紹介、使い方動画(YouTube

買うならコレ たぶん世界で最も高価な4400円のフンキャッチャー トイレに流す袋を使う
 
散歩中の犬のうんち 簡単にフンキャッチ、回収する方法
 
1分でわかる 犬の散歩で役に立つ 楽するフンキャッチャー 袋の扱いが簡単
 

(2)販売

直営店 ふんとり棒 らふーん https://lafun92.com/
直営店以外での販売 Amazon 「フンキャッチャーらふーん」で検索

 

【書いた人】

くにのぶ商店店主 國信 耕太郎
  フンキャッチャー斜め下から探訪者  らふーん考案者
くにのぶ商店は、昭和の終わりごろまで下関市にあった鮮魚仲買店です。祖父や父が経営していました。売り場は今のカモンワーフの入り口近くにありました。
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